PER(株価収益率)の使い方  

皆さん、こんにちは。

 PER(株価収益率)とは、企業の収益力(この指数の場合は純利益を用いる)つまり稼ぐ力を元に株価が今現在の企業価値に対して割高か割安又は、妥当な水準かを判断する材料の一つの指数である。現実にはこのPERだけでは企業価値を判断するには足らず、PERの上下には理由がありなぜ金融界から人気がないか探らなければいけない。

PERの計算式は次のようになる。

時価総額÷純利益  又は  株価÷一株当たりの利益(EPS)   二つの式は同じ意味である。

例えば株価が10ドルの時、一株当たりの利益が1ドルだった場合PERは10倍となる。
 PER比較的多くの人が参考にしているが、その値や使い方は企業の業種、企業の規模やそれに伴った成長度合い、市場平均でいえば相場全体の上昇や下降圧力により大きくことなる。業績悪化により赤字になりPERの数値が出ない場合がある。

 長年かけて企業が大きくなり、成長や業績ともに緩やかに推移しているような大手企業は十数前後から二、三十前後で落ち着き株価自体の値動きも比較的穏やかである。このような株式の特徴としては、配当が持続的で高配当な事が多く(もちろん安定した業績、長期ブランド力に支えられ多くの現金を生み出している場合)その比較的緩やかな成長率により投機家などからはあまり人気がない。ブルやベア相場においても市場全体よりも影響を受けにくく長期でインカムゲインが欲しい投資家から人気がある。
 
 他には高PERだったが業績の著しく落ち込んだ企業や、人気のない業界、衰退していくと考えられている業界や企業、実際に衰退している企業など様々ある。

 反対に高PERの株式といえば、若い企業でとても大きな成長率(期待感の場合もあるが)、低配当や無配の場合が多く(なぜ低い配当かと言うとその利益を企業の成長に充てている為である)又、特定の分野に対しての税率の大幅な引き下げや規制緩和などの国の政策や、社会情勢の変化や技術革新により需要と供給の変化による明るい見通しや業績の大幅な改善などがある。

 十から二十程度が市場の平均だが、では低PERや高PERどちらの株式を購入すればいいのだろうか? 
 この問題は投資方針によりいくつも分かれる。理由は先にことわっておくが、大きい意味では同じ分野でも細かく見ていくとその判断・方針により異なるためである。

 バリュー投資とよばれる方法を駆使する場合、基本的に高PERの株式は購入せず低PERを購入しそれが高PERになれば継続で保持または一部か全てを売却する。今ではバリュー投資は優良企業をターゲットにされることが多いが、元祖バリュー投資家のグレアムという方は財務状態などが長期にわたり健全であれば、その企業・業種の見通しが悪くても低PER(厳密にはいろいろなデータを元に企業価値とかなりの余裕をもっと購入すればそれが、景気の状態に対するクッションの役割りをはたす)で購入すれば株価は長期的視点で捉えれば企業価値に沿いながら推移するため、いつかはプラスになるというものだ。
 この流れをくむものは幾人かいるが、その投資法自体はあまり流行ったことはない。しかし、その教え子たちは(その中の一人にバフェット氏がおりその本の中などに投資成績が紹介されている)年間に高い利回りを実現した。中には投資の勉強をビジネススクールでならった元素人の方もおり、とても興味深い。
 なぜ人気がないかといえば、投資スタイルゆえに成長投資方法に比べキャピタルゲインや年間の成長率が低い事があげられ、短期で大きな資産増加が見えずらい点にある、しかしよく考えれば勝率が大きく改善し、複利の効果や、低い株価でより多くの株式を購入できる利点があり、又購入した企業か業績が大きく改善したのにも関わらず金融界から見放される期間が長くなればその乖離は大きくなる。そして多くの株式を得ることができる為、株価が企業価値に戻れば多くの利益を享受できる。
 歴史の長い大企業など高配当なことが多くその点でもうまみがある。よい経営者は株価が大きく下落し企業価値より低い場合は、自社株買いを行い一株の価値を効率的に高め金融界の注目が注がれた時多くの利益を株主にもたらしてくれる。
 以上の点と成長株投資の利益拡大はどちらが有利かは一概には判断できない。

 では成長株投資とはどのような方法だろうか?
 その名の通り成長株は市場平均に比べ大きな成長率や期待に支えられ、こうPERで取引される事が多く又、若い企業や弱い財務状態、ハイテク分野、ニッチな産業、などが多い。その企業の現在の価値ではなく将来の価値としてよく取引される。
 その為企業価値と照らし合わせても高値で、成長を支える為低配当・無配当のことが多い。(成長企業でなく低配当・無配当でも企業価値を高めることができるなら、インカムゲイン税などの株主にかかるコストを大幅に抑えより多く株主にもたらすことも出来る、配当で生計などを立てている方はこの限りではないが。)
 成長株の元祖はグレアム・ドットと同世代のフィリップ・フィッシャーがいる。その息子ケン・フィッシャーも同じ成長株投資家で大きな成功を収めている。しかし二人は購入時期を明言しており、あまりにも高値のときにはリスクや利益の観点から見送ったようだ。他には人気のある高PERをこのんで購入する人など様々である。
 フィリップ・フィッシャーやケン・フィッシャーなどは投資成績をあげる為、財務調査や決算報告書の他に経営陣や業種、投資先の技術自体について専門的で詳しく又、ライバル企業についても深く調査をし、集中投資であった。(グレアム氏は極端は程の分散投資と財務調査や報告書により投資先を決定していた)聞き込み調査なども行いその精度を高めている。
 フィリップ・フィッシャーの場合できれば永続的に保有できる企業を探していた。素晴らしい企業は長く保有すれば非凡な成績を収められると言うものだ。
 息子のケン・フィッシャーは素晴らしい企業が一時的に業績悪化し、金融界から見放されたときに購入という手法だ。
 高い成長を長期で継続できる企業は、労使関係の良好さや経営陣の素晴らしさ、新しい技術や開発、あくなき向上心などがある。そして投資家自身も企業、業界、分野をよく理解する事が求められる。

 PERが赤字などで使えないときの指数もまた次の機会に紹介したいと思います。
 
 どちらのが良いかではなく、どちらが合っているか又、皆さん自身の投資法を考えてほしい。一番リスクが増大し利益が減少するのは、何をしたいか理解していないことです。行動をしっかり理解すれば投資成績も改善がみられるはずです。

 本日はお読みいただきありがとうございました。
 
 

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